休日の午後。
久しぶりに
ゆっくり本でも読もうと思って、
リビングへ向かった。
コーヒーを淹れて
読みかけの本を持って、
いつものソファへ。
……と思ったら。
君がいた。
しかも、
僕がいつも座る
ちょうど真ん中。
クッションに体を預けて
気持ちよさそうに眠っている。
「そこ、僕の場所なんだけどな。」
もちろん
返事はない。
少しだけ端に
寄ってもらおうかと思ったけれど、
すっかり眠っている君を見ていたら
起こすのもかわいそうになった。
「まあ、いいか。」
僕はソファを諦めて
その前の床に座った。
背中をソファに預けて
本を開く。
やっぱり、
いつもの場所のほうが
読みやすい。
そう思いながら
何ページか読んだ頃、
後ろで
小さな気配がした。
振り返ると
君が目を覚ましていた。
大きく伸びをして、
僕の顔を
しばらく見ている。
「起きた?」
そう声をかけると、
君はソファから
ゆっくり降りてきた。
せっかく
一番いい場所を譲ったのに。
君はそのまま
僕の隣へやってきて、
ぴたりと
体をくっつけて座った。
「なんだよ。」
思わず笑って、
君の背中を
ひと撫でする。
ソファは
空いたまま。
戻ろうと思えば
戻れるのに、
なぜか僕も
そのまま床に座っていた。
本を一ページめくる。
隣から聞こえる
君の静かな寝息。
ときどき、
僕の腕に触れる
あたたかい体。
そうか。
僕が好きだったのは
あのソファじゃなくて、
休日の午後、
君とこうして過ごす
この時間だったのかもしれない。
一番いい場所は、
きっと
場所のことじゃない。
君のそば。
たぶん君も、
同じだったんだね。