半分だけ

 

朝。

 

コーヒーを淹れて

いつもの席に座り

 

新聞を広げる。

 

すると

待っていたように君がやってくる。

 

テーブルにひょいと飛び乗って

広げたばかりの新聞の上に

 

どっかり座る。

 

「ちょっと、読めないんだけど。」

 

君をそっと端へ寄せて

新聞を広げ直す。

 

けれど

少しするとまた

 

新聞の真ん中へ戻ってくる。

 

「そこがいいの?」

 

もちろん、

返事はない。

 

ただ、

ここが自分の場所だと言うように

 

前足を揃えて座っている。

 

仕方がないから

新聞を半分に折る。

 

右半分は私。

 

左半分は君。

 

いつの間にか

 

それが毎朝の決まりになった。

 

ある朝。

 

新聞を広げても

君が来ない。

 

振り返ると

窓辺で気持ちよさそうに

 

丸くなって眠っている。

 

「今日は、そこなのね。」

 

久しぶりに

新聞を全部広げてみた。

 

読みやすい。

 

ページもめくりやすい。

 

誰にも邪魔されない。

 

……なのに、

 

なんだか落ち着かない。

 

私はしばらく新聞を眺めてから

いつものように

 

半分に折った。

 

そして、

窓辺の君を見て言う。

 

「ここ、

空いてるよ。」

 

君はちらりとこちらを見て

大きなあくびをひとつ。

 

それでも私は

新聞を半分にしたまま

 

コーヒーを飲む。

 

いつからだろう。

 

君に半分あげることが

少しも惜しくなくなったのは。

 

たぶん、

 

一緒に暮らすって、

こういうことなんだね。

 

半分だけ
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