小さな命が教えてくれたこと

 

友人が持ってきたバスケットの中ですやすや眠る小さな命。

 

嬉しさと可愛さと、少しの不安で迎えました。

 

その子は毎日を一生懸命生きて
やがて私の暮らしの中に、当たり前のように存在するようになりました。

 

朝起きる理由。

 

帰る場所。

 

何でもない一日を、少しだけ特別にしてくれる存在。

 


 

いつの間にか年月が流れ
白かった毛は少しずつ色を失い
歩く速度も、眠る時間も、変わっていきました。

 

介護が必要になった頃
正直に言うと、戸惑いもありました。

 

仕事、家のこと
自分の体力や気持ち。

 

「ちゃんとできているのかな」


「この子は幸せなんだろうか」

 

答えのない問いを
何度も心の中で繰り返しました。

 


 

でもある日
介助しながらふと目が合ったとき
その子は、とても穏やかな顔をしていました。

 

何かを求めるわけでもなく
不満を言うわけでもなく。

 

ただ

そこにいる。

 

その姿を見た瞬間
人と同じだと思ったのです。

 

年を重ね
誰かの手を借りながら生きること。

 

できなくなることが増えても
大切にされていると感じられること。

 

それが・・・
生きることの意味なのかもしれない、と。

 

もし、この子が言葉を持っていたら
きっとこう言っていたと思います。

 

「ごめんね、じゃなくて、ありがとうって言って」

 


 

完璧な介護じゃなくていい。

 

いつも笑顔じゃなくてもいい。

 

一緒に過ごした時間そのものが
もう十分すぎるほどの愛なのだから。

 

形は変わっていくけれど
想いは、ちゃんと残ります。

 

大切な存在を想う気持ちを
どう抱えていくかは、人それぞれ。

 

もし今
私と同じように迷いながら向き合っている方がいたら。

 

その時間は
きっとあなたと、その子にしか持てない
かけがえのない時間です。

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