ある日突然、それまで普通に歩いていた愛犬が歩けなくなったら。
驚きと不安で、どうしたらいいのか分からなくなる方も多いのではないでしょうか。
私にも、そんな経験があります。
一緒に暮らしていたのは、ミニチュアダックス。
ある日、階下へ降りてみると、ケージから出た愛犬が隅でクンクンと鳴いていました。
近づいてみると、うまく歩くことができません。
急いで近所の動物病院へ連れていきました。
そこで告げられたのは、
「治りません。これからは車いすでの生活になります」
という言葉でした。
突然のことで、すぐには受け止めることができませんでした。
「本当に、もう歩けないのだろうか」
その思いが残り、別の動物病院でも診てもらうことにしました。
そこで、
「大きな病院で手術を受ければ、また歩けるようになる可能性があります」
という、別の選択肢があることを知りました。
往復2時間半の通院が始まりました
紹介された病院までは、往復で約2時間半。
そこから何か月にもわたる通院が始まりました。
愛犬は移動用のケージに入ることをとても嫌がりました。
慣れない長時間の移動が、不安だったのだと思います。
あるときはケージの中で排泄してしまい、体が汚れたまま診察を受けたこともありました。
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
でも、先生も看護師さんも何も言いませんでした。
嫌な顔ひとつせず、いつもと変わらず診てくださいました。
そのときのことは、今でも覚えています。
手術を受けるという選択
何か月か通院したあと、手術を受けることになりました。
手術そのものへの不安。
入院させることへの不安。
そして、決して小さくない治療費。
迷いがなかったわけではありません。
それでも、
「もう一度歩ける可能性があるのなら」
そう考えて、手術をお願いしました。
手術と入院を終え、ようやく家へ帰ってきた愛犬。
再び、自分の足で歩くことができるようになりました。
あのとき知った、セカンドオピニオンという選択肢
最初に診てくださった獣医師が間違っていた、と言いたいわけではありません。
動物病院によって設備や専門分野が異なり、治療についての考え方や選択肢が異なることもあります。
診断や治療方針について迷ったとき、別の獣医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」という方法があります。
別の病院へ行けば、必ず違う治療法が見つかるわけではありません。
それでも、
「ほかにできることはないのだろうか」
そう思ったとき、別の意見を聞いてみるという選択肢があることを知っておくことは、大切なのではないでしょうか。
帰ってきてから、暮らしを少し変えました
歩けるようになって家へ帰ってきたあとも、以前とまったく同じ生活には戻しませんでした。
できるだけ腰に負担をかけないようにしようと考えました。
ソファの足元にはウレタンを置いて段差を少なくし、滑りやすいフローリングにはタイルカーペットを敷きました。
ほんの少しのことですが、愛犬の体に合わせて家の中を変えていきました。
そして、また一緒に散歩へ行けるようになりました。
その子は、18歳まで生きました
手術をしたから18歳まで生きられた、と言うことはできません。
もしあのとき違う選択をしていたらどうなっていたのかも、今となっては分かりません。
ただ、あの日。
「本当に、ほかに方法はないのだろうか」
そう思って別の病院を訪ねたことで、私たちは別の選択肢を知ることができました。
手術を終えたあとは、その子の体に合わせて暮らしを少しずつ変えながら、一緒に過ごしました。
また散歩へ行きました。
同じ家で、いつもの毎日を過ごしました。
そんな何でもない時間を、何年も重ねることができました。
その子は、18歳まで生きました。
大切な子のことで迷ったとき。
ひとつの答えだけでなく、ほかに選択肢がないか尋ねてみること。
そして、そのときのその子に合わせて、できることをひとつずつ考えてみること。
今日、その子のためにできることは何だろう。
そう考えることも、大切な子と暮らす時間の一部なのかもしれません。